もう随分前の話になりますが・・・今日は、知り合いの先生から引き継いだ生徒さんのお話です。
当時、その子は2年生の女の子。
5歳からピアノを始めた彼女は、私が引き継いだ時は自発的に、とても楽しんでピアノを弾いている、ように見えました。
でも、お母様の雰囲気やお話から、彼女の意思で始めたのではなく、お母様の「ピアノをやらせたい」という強い希望から始めた事が分かりました。
後年、大きくなった彼女から聞いた話では、ピアノを始めた当初のお母様の熱心ぶりは、まさに「教育ママ」そのものでした!!
導入期、幼稚園児だった彼女に、付きっ切りで夜10時・11時まで練習をさせたそうです。
そして、レッスンにも同行し、熱心にメモを取り、レッスン中にお口も挟んでいらしたようです。(笑) 注:私のレッスンでは、お子さんのためにならないので、と丁重にお断りしました。
また次の日から、夜遅くまでのお母様のシゴキ・・・
と、子供時代、自由奔放にピアノと向き合ってきた私は、書いているだけでクラクラしてきますが・・・(汗)
そんな環境で育った彼女、その後どうなったかといいますと、 元々、聡明で音楽センス抜群でしたので、小学校時代は毎回学習発表会の伴奏者になり、レッスンでも有名曲を弾けるようにまでなりました。
しかし、中学生になり、忙しくなって練習不足が続き、レッスンを中断しようか、と話し合っていた時の彼女の一言が未だに忘れられません。
「自分のことだから、よく考えてね。」と言った私に「だって、小さい時からピアノ好きじゃなかったもん。ママに無理やりやらされて、お爺ちゃんに、まだやってるのか、って言われても夜遅くまで弾かせられてたんだよ!」
ピアノを好きになって、楽しく弾いてほしいと思いながらこの仕事をしてきた私にとって、それは一番聞きたくない言葉でした。
にっちもさっちも行かなくなった現状を誰かのせいにしてしまう、という反抗期特有の発言かもしれないとも思いましたが、やはり、彼女にとってピアノは自分のものでなく、お母様のためのものだったのでしょう。
悲しいですが、この事を糧に今後も自分のために・自分が弾きたいから弾く、生徒さんを育てて行きたいと強く思います。
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